相続税とは無関係と考えていませんか
2015(平成27) 年1月より、相続税の基礎控除額が変更されました。これにより、100人のうち2人の割合で納税者が増えるとされています。「知らなかった」では済まされませんので、ご自分が該当するのかどうか、この機に確認してみましょう。
改正前) 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
改正後) 3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、お子さんが二人いるご家族なら、「3,000万円+600万円×2」、つまり4,800万円以上の資産を持つ場合、相続税を納める必要があります。旧来の7,000万円以上と比べ、かなりハードルが下がった印象を受けるのではないでしょうか。
もちろん、基礎控除額以下の場合には相続税の納付義務はなく、相続税の申告は必要ありません。ただし、謝った計算によりご自分が非該当だと思い続けていると、後から、相続税のほか延滞税まで課せられるかもしれません。相続が始まる前から税理士にご相談いただき、納税準備を整えてはいかがでしょうか。
相続税の申告・納付について
手続きの流れ
相続税は、被相続人が死亡した日の翌日から10カ月以内に、その全額を原則として現金で納めます。申告手続きは被相続人の住所を管轄する税務署で行いますが、実際の納付は、郵便局や金融機関の窓口でも行えます。
現金が用意できなかい場合の「物納」
国税庁は、一定の要件を満たしている場合に限り、動産や不動産による「物納」を認めています。ただし、その中身に優先順位が決められていますのでご注意ください。また、市場で売却しづらい土地を処分できるなどのメリットがある一方、測量などで先行投資が必要になる場合もあります。詳しくは、専門家にご相談ください。
第1順位 | 国債、地方債、不動産、船舶 |
---|---|
第2順位 | 社債(短期社債などは除く)、株式、証券投資信託、貸付信託の受益証券 |
第3順位 | 動産 |
延納について
納期に間に合わなかった場合、あるいは申告額が間違っていたときなどに課される税金には、以下のようなものがあります。
延滞税
相続税の申告が済んでいたとしても、実際の納付が行われなかった場合の付加税です。
納税総額に対し、年率にして約7%から14%の料率がかかり、完納までの日割りで加算されます。
無申告加算税
申告そのものを意図的に行っていなかった場合に課され、税務調査を受ける前か、その後に申告したかで、5%から20%の料率がかかります。
過少申告加算税
申告額が少なかった場合に発生する税金です。税務調査を受ける前であればペナルティは科されません。調査による指摘後であり、申告期限内であれば、15%から20%の料率がかかります。申告期限後なら「延滞税」が適用されます。
重加算税
書類の偽装を含め、財産を意図的に隠していた場合は、該当する相続税の35%が付加されます。
最初から申告書を提出していないのであれば40%です。
相続税に必要な書類
参考までに一覧をご紹介するものの、一般の方がこれを網羅するのは、現実問題として難しいでしょう。無申告加算税や延滞税の支払いを避けるためにも、私たち税理士にご一任いただいた方が確実です。仮に計算が間違っていなかったとしても、書類の不備や漏れなどで、受け付けてもらえない可能性があります。
必要な書類一覧
No. | 種類 | 必要書類 | 取得先 |
---|---|---|---|
1 | 土地 | 全部事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
2 | 固定資産税評価証明書 | 市町村役場 | |
3 | 地積測量図又は公図の写し | 法務局 | |
4 | 実測図 | ご自宅など | |
5 | 賃貸借契約書(貸地・借地の場合) | ご自宅など | |
6 | 建物 | 全部事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
7 | 固定資産税評価証明書 | 市町村役場 | |
8 | 間取り図 | ご自宅など | |
9 | 賃貸借契約書(貸地の場合) | ご自宅など | |
10 | 上場株式 | 株券コピー(表・裏) | ご自宅など |
11 | 証券会社の預かり証明書 | 証券会社 | |
12 | 家族全員の最近5年間の取引明細 | 証券会社 | |
13 | 配当金通知書 | ご自宅など | |
14 | 非上場株式 | 直前3期の法人税の申告書一式 | 発行法人 |
15 | 最近5年間の株主名簿 | 発行法人 | |
16 | 法人所有の資産がある場合、資産に関する必要書類 | 発行法人 | |
17 | 現預金 | 預金残高証明書 | 金融機関 |
18 | 既経過利息計算書(定期預金の場合) | 金融機関 | |
19 | 被相続人の過去の通帳等コピー | ご自宅など | |
20 | 家族全員の過去の通帳等コピー | ご自宅など | |
21 | 電話加入権 | 電話番号と所在場所 | メモしてください |
22 | ゴルフ会員権 | 預託金証書又は株券のコピー | ご自宅など |
23 | 生命保険等 | 保険金支払い通知書 | 生命保険会社等 |
24 | 継続している生命保険の保険証書コピー | ご自宅など | |
25 | 満期返戻金のある火災保険等の保険証書コピー | ご自宅など | |
26 | 退職金 | 支払通知書 | 勤務先 |
27 | 貸付金 | 金銭消費貸借契約書及び残高のわかるもののコピー | ご自宅など |
28 | 書画骨董等 | 品名・作者名・写真等 | メモしてください |
29 | 家財 | 特記すべきものの明細 | メモしてください |
30 | その他の財産 | 未収入金等の場合は通知書など | ご自宅など |
マイナスの財産に関する書類
種類 | 必要書類 |
---|---|
借入金 | 金銭消費貸借契約書のコピー |
銀行等の残高証明書 | |
未払金 | 請求書・領収書(医療費・保険料・公共料金等) |
未納税金 | 課税通知書 |
納付書 | |
その他 | その他債務の明細 |
葬儀費用 | 諸経費控 |
領収書(お寺・心付け等領収書の無い場合は書き出して下さい) | |
香典帳等 |
相続人調査に関連する書類
No. | 必要書類 | 取得先 | 通数 |
---|---|---|---|
1 | 被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までの除籍謄本、改製原戸籍謄本など | 市区町村役場 | 各1通 |
2 | 被相続人の住民票の除票 | 市区町村役場 | 1通 |
3 | 相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 各1通 |
4 | 相続人全員の住民票 | 市区町村役場 | 各1通 |
5 | 相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役場 | 各1通 |
6 | 遺産分割協議書または遺言書 | ご自宅など | 1通 |
7 | 相続人全員の実印(遺産分割の場合) | ご自宅など | - |
8 | 被相続人の略歴書(病歴・入院歴) | ご自宅など | - |
9 | 被相続人の死亡診断書のコピー | 病院 | - |
10 | 各相続人の職業・自宅電話番号 | ご自宅など | - |
その他書類
No. | 必要書類 |
---|---|
1 | 相続開始前3年以内の贈与の内容及び贈与税の申告書コピー |
2 | 相続開始前2年間の被相続人の所得税の確定申告書コピー |
3 | 準確定申告のために必要な資料(源泉徴収票・収入明細・領収書・保険等控除証明書) |
不動産の名義変更(相続登記)に関する書類
No. | 必要書類 | 取得先 | 通数 |
---|---|---|---|
1 | 被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までの除籍謄本、改製原戸籍謄本など | 市区町村役場 | 各1通 |
2 | 被相続人の住民票の除票 | 市区町村役場 | 1通 |
3 | 相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 各1通 |
4 | 相続人全員の住民票 | 市区町村役場 | 各1通 |
5 | 相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役場 | 各1通 |
6 | 遺産分割協議書または遺言書 | ご自宅など | 1通 |
7 | 相続不動産に関する全部事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 | 各1通 |
8 | 相続不動産に関する固定資産税評価証明書 | 市区町村役場 | 各1通 |
9 | 相続人全員の実印(遺産分割の場合) | ご自宅など | - |